信仰の旅・エルサレムへ

恵まれてエルサレムへ四度。 ボチボチ人生の最終列車に乗ったところで書き残しておきたい。

18-2 半円形野外劇場

 ガイドが終わって少し自由時間が与えられ、
三々五々散って行きましたが、
柳田さんと児玉さんと西さんの3人は、
その場に腰かけて賛美歌を歌い出しました。


み空に麗しわがシオンの都
輝く宮居の真白きその門
カルバリに失せし
主はわれに開かん、シオン、シオン
あこがれの~♪~♪~

 紺碧の地中海に魂を奪われたかのように、
無心に歌う彼女たちの姿にすっかり魅せられてしまいました。
69才、73才、79才の3人。
苦しい戦後を乗り越えて、
日本を支えてこられた彼女たちの魂は、
今この瞬間、失われた青春を取り戻しているに違いありません。

 
 あまりの神々しさに、とても近寄れない雰囲気です。
気づかれないように、そーっとビデオに収めました。
歌声は続き、地中海の彼方へ吸い込まれて行きます。

18-1 半円形野外劇場

  ピラトスの石版から少し歩いて、
要塞のような劇場の中に入りました。
確かに海に向かって半円になっています。

「まあ、何ときれいになっていること!」

 昨年は修復工事中だったので、
あちこち欠けたところがあって、
瓦礫(ガレキ)と誇りの中でしたが、
それはそれで想像力をかき立てられたものでした。
今はこのすり鉢型の客席が整備されていて、
オペラでも聞こえてきそうな雰囲気です。
そこに腰かけて海を眺めながら、
倉田さんのガイドに導かれていくのでした。


「この劇場はですね、
ヘロデ王によって建てられたものです。
直径170m。頂上までの長さは30mありまして、
当時は約4,000人収容できたそうです」

 みな、その広さを目で確認しながら、
しっかりとメモを取る人もいました。

「右手の方には城壁の名残が見えますね。
ここは現在でも、夏期には様々なコンサートが開かれます。
地中海から吹く風が、非常に良い音響効果を出すんです。
昔の人は非常にうまく自然を利用していましたね」

「な~るほど~」




17 ポンテオ・ピラトスの石版 その2

倉田さんの説明が続きます。

「本物はね、イスラエルの博物館に置いてあります。
貴重な物ですから こんなところには置いておけないんですよ」

「そりゃ そうだ!」

「碑文はですね、4行からなっていまして
カイザリアの市民に
ティベリウスを
ポンテオ・ピラトス
ユダヤの総督


と書かれてあるんです。どういう意味かと言いますと
ローマの皇帝
ティベリウスを記念して
カイザリアの市民にこの円形劇場を造ることを
ポンテオ・ピラトスが許可したという
意味だろうと言われております」 


みな再び真剣になりました。
倉田さんは続けます。
「実はこのポンテオ・ピラトスというのが
イエス・キリストに死の決断を下した あのピラトであろうと
言われておりまして、この碑文の発見によってですね、
ピラトは実在の人物であり、イエス・キリストの信憑性が
一段と高まったというでわけです」


何と背筋がゾクゾクするではありませんか。




16 ポンテオ・ピラトスの石版 その1


 次にバスは半円形野外劇場の庭に到着。
そこで先ず、ポンテオ・ピラトスと書かれた
石版を見学しました。石版と言っても社長級の椅子の
背もたれぐらいはあります。


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また首の無い石造が何個か置いてあり
これは、近くのバナナ畑から偶然発見されたもので
5世紀のビザンチン時代の道路に飾ってあったものであろうと。

「ええと、中に入れば分かりますが、この石版はですね、
あの円形劇場のロイヤルボックスから発見されたものです。
ここに、ポンテオ・ピラトスと書かれています」


みな一斉にパシャッ パシャッ!
17人分のシャッターの音はまるで音楽のようです。
すると ガイドの倉田さんが申し訳なさそうに
「実はですねえ、これ・・・イミテーションなんですよ」と。

途端にどっと響くみんなの笑い声。
騙されたぁ~という心地よい雰囲気も漂って
しばらくクスクス、クスクスと笑いが続いたのでした。



15 カイザリア

「皮なめしシモンの家」と「ヤッフォ展望台」のヨッパから
約40キロ北上して 古代カイザリアの遺跡に向かい
揺れるバスの中で 倉田さんのガイドに耳を傾けます。


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「紀元前3世紀ごろ ここはフェニキア人の小さな町でした。
それをヘロデ大王が紀元前22年から12年かけて
壮大な港町に改築し、ローマ皇帝のカイザルに敬意を表して
カイザリアと呼ぶようになったと言われています。

そのあと500年間ですね、ローマの総督府が置かれまして
ローマとの直行便が出入りする国際港となったわけです」

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「ふうん、なるほど~」

「新約聖書の時代にはパウロが初めて異邦人(百卒長コルネオ)に
伝道したところであり、また彼が2年間幽閉された後、
上訴するため ローマに出帆したのも ここカイザリアでした。
(使徒10章、27:2参照)



14 ヤッフォ展望台


さて、シモンの家を出て、
今度はヤッフォの展望台まで歩きます。
その展望台から 先ほどのシモンの家の屋上から見たのと
同じ海を眺めながら倉田さんのガイドに耳を傾けます。


ヨッパは現在ヤッフォ、あるいはジャッフォと言われており、
その昔 ヨナタルシシに向けて
不運な航海に出発したところでした。
(ヨナ1:3)


「ふむ、ふむ」 

またソロモンが神殿を建てるために、ツラムの王にお願いして 
レバノンの材木をいかだに組んで 海からヨッパに送ってもらい、
それをエルサレムに運び上げたところでもあります。(歴下2:16)


みなそれぞれに、遠い昔に思いを巡らせている様子。
しばらくして・・

え~とそれからですね、ギリシャ神話で有名な
アンドロメダの岩があるのも ここヨッパの海辺です。
王女のアンドロメダ海の怪物の餌食として
岩に縛りつけられていた時、ペルセウスという人が現れて
彼女に恋をしました。そして彼女を妻にくれるなら、
その怪物を退治すると約束するわけです。
で、彼はその怪物を退治して
アンドロメダを妻にしたという話がありますが、
その岩がすぐこの下の海辺にあります


われわれ17人、柵に捕まりながら
「え? どこ、どこ」
と騒ぎましたが、結局この場所からは見えない
ということでした。


13 皮なめしシモンの家 屋上続き


「ええと、ここがヨッパの皮なめしシモンの家です。
聖書の中に タビタという女性が出てきますが
みなさんご存知でしょうか。
数々の良い働きや施しをしていたけれども、
病気になって死んだので、人々はそのからだを洗って
屋上の間に安置したと記されています。
使徒9:36~
今みなさんが立っておられるこの場所ですね」


ほう

「またここは、ルダの近くでもあるんです。
ルダというのは、今朝みなさんが着いた空港のある
辺りですが、そのルダにペテロが来ていると聞いて
弟子たちが迎えに行って、ここまで案内したわけですね」


うなずいています。

「そして、タビタがどんなに良いことをしてくれたか
みな泣きながら話すものですから、ペテロはこの屋上で
タビタを生き返らせ、そのあと、しばらく
この家に宿泊したとも書いてあります。
そこ ちょっと読んでみましょう。(使徒9:36~43

みな聖書の達人者、目を閉じて じっと聞き入っています。

「また、異邦人伝道のお告げを受けたのも この屋上でした」

飛行機での疲れも忘れてメモを取り、説明が終わってからは
思い思いに地中海を眺めたり、互いに写真を撮り合いました。
初日から感動のるつぼです。
私も、3度目にしてようやくここに立てたという
深い感動で目頭が熱くなるのでした。


12 皮なめしシモンの家 屋上 

皮なめしシモンの家屋上
【皮なめしシモンの家の屋上 使徒10章】
(画像はミルトスさんから拝借)



「もしかしたら いないんじゃない?」
誰かが問いかけると
「いや、朝だからいるはず。お祈りしてるのかも知れないな」

そう言ってノックを止め、中の様子を伺うように
ドアに耳を押し付けた倉田さんが言います。
「あ、だれかこっちに歩いてきた。皆さん良かったですねえ~。
ここはね めったに開けてもらえないんですよ」

静かに ゆ~っくりと開いたドア。おお~なんという幸運でしょうか。
感謝に満ちて思わず瞼を閉じながら、
今回の旅はすべてがうまくいくという確信で胸が熱くなるのでした。


しかし、管理人のおじさんは何となく ご機嫌悪そうな顔をしています。
倉田さんはそんなことを気にする風もありません。
彼の後からぞろぞろと中に入り、屋上に上がると
青い青い地中海の岸辺にいるのでした。

そこで倉田さんから説明を聞きます。


11 皮なめしシモンの家 入口

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【ヨッパにある皮なめしシモンの家の入口】



荷物を積み終わったところで
現地ガイドの倉田さんから挨拶がありました。

「皆さんお早うございます。大変お疲れ様でした。
今日は現地時間の10月13日です。
これから軽く朝食を摂っていただくために
ダンホテルに向かいます。

まだ十分時間がありますので少し
仮眠をとっていただいて
6時半になったら ここに集まってください。
私はガイドの倉田、運転手はダビデといいます。
どうぞよろしくお願いします」


こちらもよろしくと拍手で気持ちを伝えた時から、
さあ、ファミリーの始まりです。
20分もすると立派なホテルに着きました。
ジーパン姿じゃ ちょっと申し訳ない気分ですが
おかげ様でゆったりとくつろいで
いい旅の予感がしました。



さて
いよいよダンホテルを出発です。
大型バスに20人ですから、席はたっぷりと余裕があります。
先ず、ヨッパ(ヤッフォ)の「皮なめしシモンの家」に行きました。
そこのドアが開くのは 管理人のご機嫌が良い時だけ
というので 以前は開けてもらえませんでした。
今回は 倉田さんが
何度も何度も諦めずにノックします。


「叩けよ、さらば開かれん(マタイ7:7)」
主の声が聞こえてくるようですが 果たして今日、
この聖句が成就するや否や。
私たちはもう諦めかけているのに 倉田さんはまだ続けます。
トントン、トントン、トントン
もはやそれは機械のようにさえ響くのでした。




10 イスラエル到着

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【ベングリオン空港着】



さて、眠っている間にベングリオン空港です。
昔はロッド空港と言ってました。

聖書にルダ(使徒9:38参照)と書かれているところです。
時差のため再び時刻が変わり、
荷物を確認し終わった頃は明け方の4時過ぎ。
4~5時間はぐっすり眠ったようで気分は最高、
空気も優しく感じられました。



「天のお父さまぁー、また来ましたぁー。皆を祝福してくださぁーい」
 両手を広げて大きく深呼吸しながら、
夜明けの空に向かって心で叫びました。
昨年8月、12月と続けて来て
少しは霊験あらたかに?なった私、三度目の今回も 
なけなしのお金をはたいて来てしまったのです。
職場の忙しい時期、
強引に休暇を取りましたので、
帰国したらおそらく首でしょうが、それならそれでいい。


これから11日間、この聖なる地で、
添乗員の泉さん、現地ガイドの倉田さん、
運転手のダビデさんと共に

一家20人のファミリーとして
生活するのです。
はたしてどうなることやら、今のところ全く見当がつきません。


この予想もできない未知の世界に、
私たちは今、突入してしまったのです。
たとえ何が起ろうとも
大きな犠牲を払って はるばる日本から来たんですもの、
必ず主がお守りくださるに違いありません。





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ギャラリー
  • 16 ポンテオ・ピラトスの石版  その1
  • 15 カイザリア
  • 15 カイザリア
  • 12 皮なめしシモンの家 屋上 
  • 11 皮なめしシモンの家 入口
  • 10 イスラエル到着
  • 8 手荷物検査で待ったがかかる
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  • 7 ロンドン出国の動き
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